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人間学部設立10周年を迎えて

カテゴリ:トピックス|2012年9月 1日掲載


         

1.人間学部の目ざすもの

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わたしたちは毎日、人とかかわりながら生活しています。さまざまなものの見方、考え方をもつ人たちが入りまじる社会で、人が人とともによりよく生きるには、どうすればよいのでしょうか。
こうした現代の課題に立ちむかう若い人たちを育てようと、人間学部は平成15年(2003年)4月、文部科学大臣の認可を得て、名城大学の8番目の、そして初めての人文系学部として開設されました。名城大学の立学の精神「穏健中正」をふまえて、人間学部は「人間性豊かな実践的教養人」を育成します。
 学部ということばは大学教育においてのみ使われますが、学部をあらわす英語として、近年はschoolをあてることが多くなっています。すなわち、学部とは大学を構成するひとつの学校といえるものです。学校の主役は、そこで学ぶ人たちです。この10年間に、学生たちがどのように人間学部に来て、どのように学び、社会へ巣立っていったか、そのあらましをスケッチしてみます。 

 

2.入学生への案内

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名城大学は大正15年(1926年)、名古屋市内に開設された名古屋高等理工科講習所をルーツとし、大学として開学した昭和24年(1949年)から数えても、半世紀をはるかに超える歴史があります。しかし、初めて人文系学部を設けるということになりますと、まず近隣地域の高等学校の先生方や生徒さんたちに知ってもらうことが大切です。学部開設前には、教員となる予定の先生方と、入学者の選抜業務を統括する入学センターの事務職員とでいくつかのチームを組み、手分けして高校訪問を行いました。

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 学部を知ってもらう場として、オープンキャンパスは重要です。オープンキャンパスでは、高校生やご父母と個別に面談して、学部のあらましや入学試験をめぐってお話する入試相談会を中心に、大学の授業を体験してもらう模擬講義、研究に関連する体験ができる講座、学生がゼミナールで行っている研究の成果や人間学部の教育の特色を図や写真を多用してわかりやすくお伝えするパネル展示などを行います。
 ここ数年、オープンキャンパスに来て人間学部の紹介企画に出席してくださる生徒さんは増加傾向にあり、最近2年間はいずれも合計人数が500名を超えています。わたしたちも秋から冬にかけて順次、行う入学試験への志願者の動向を、このオープンキャンパスでの手ごたえから、かなりの程度、正しく見通すことができるようになってきました。人間学部への志願者総数も着実に増え、開設された平成15年(2003年)は852名でしたが、最近3年間はいずれも1,500名を超えており、この10年間に少しずつ人間学部が認められ、評価されてきたようすがうかがわれます。

 

3.卒業生の進路

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人間学部の第1期生が卒業したのは平成19年(2007年)3月ですが、このころ、幸いなことにわが国の産業界は景気がよく、新卒学生の採用も好調でした。また本学の経営にかかわる企業人や卒業生のみなさんのお力添えもいただき、よい採用実績をあげることができました。その後、景気は大きく後退し、かつての就職氷河期をも下回るきびしい採用状況、と報道されるものの、本学の手厚い就職支援システムのおかげもあって、就職を希望する学生の就職率は高いまま推移しています。

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 近年、企業が新卒学生に求める力量は、コミュニケーション力に大きくシフトしてきているように思われます。業務に必要な専門の知識・技能は就職してから業務や研修のなかで習得できるので、大学生活の中ではコミュニケーション力をしっかり身につけてほしい、こうした声を企業の採用担当の方からよく聞きます。人間学部の学生は、4年間の学習を通じて、人間に目を向ける姿勢と、人間のありようを的確に見てとる基本となる知識を身につけているものと期待されます。これらが仕事の世界での人とのコミュニケーション力の基盤になっていているものと考えています。 

 

4.授業科目の編成 - 5つのキーワード - 

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 大学は、学生が在学する間にさまざまな学習ができるように、授業科目を編成します。大学の授業科目は大きく分けて教養教育部門と専門教育部門からなっています。このうち、専門教育部門は、人間学部が目標とする人材育成と密接に結びついています。専門教育部門には80を少し超える授業科目が設けられており、それらは心理、教育、社会、国際、コミュニケーションという5つのキーワードに集約されます。
 心理学は人間の心を探究しますし、若い年代からの関心が高い学問ですから、人間のありようを学ぶ入り口として好適です。また、人間は生まれてそのまま人間になるわけではなく、家庭、学校、地域社会でさまざまな学びを重ねて成長していきます。人間としての成長を促す教育の営みをつきつめた形で探究する教育学は、人間の理解に欠かせません。また、人間は社会を構成して生活する一方で、社会から影響を受けて暮らしています。社会学は社会の成り立ちを探究しますから、人間のありようを学ぶうえでも重要です。さらに、最近では国際的な視点から人間を考える必要があります。世界の人々はどうなのか、わたしたちと同じ
なのか、異なるのか。こうした視点から人間を考える手立てとして、英語の学習の重要性が高まっています。もちろん、人とかかわりながら暮らす現代のわたしたちにとって、コミュニケーションについて深く学ぶことは、人間としてよりよく生きる基盤になるといってよいでしょう。
 平成15年(2003年)の学部開設から4年間は、文部科学省に申請したとおりの授業科目を1年次から4年次への学年進行にそってきちんと開講しました。その後は大学の裁量で授業科目を手直ししてよいとされているため、平成20年(2008年)4月以降の入学生向けに、一部を改正しましたが、専門教育の授業科目が5つのキーワードに集約される枠組みは維持しています。

 

5.教育の発展 - 大学院の開設 - 

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 こうした人間学部の基本コンセプトを継承しながら、さらにもう一段高い実践性とそれを支える知識を学ぶことができるように、人間学部開設から8年目にあたる平成23年(2011年)4月、文部科学省の認可を得て、大学院人間学研究科を開設しました。2年間の修士課程において、自ら研究を展開できる能力、総合的で柔軟な判断力、社会で求められるコミュニケーション能力、および高い公共性と倫理性を育成する授業科目の履修と修士論文研究により、これからの知識基盤社会を支える人材を育成します。

 

6.学部を支える教職員組織

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 人間学部の教育の中核になるのが専任教員です。現在の22名の年齢構成は、60歳代3名、50歳代13名、40歳代4名、30歳代1名、20歳代1名と壮年層が厚く、活力がみなぎっています。専任教員は授業、研究に加え、教授会と名づけられた会議で議論をして、人間学部や大学全体の運営に力をつくしています。
 事務職員には、いろいろな勤務の方がいて、人間学部関連の業務を主にこなす方だけでなく、本学全体の業務を担当し、人間学部関連の業務も分担してくださるみなさんもたくさんいます。人間学部は教育や運営について、新しい取り組みに挑戦してきましたから、これを支える事務職員のみなさんも、工夫と努力を重ねてこられました。

 

7.人間学部開設までの道のり 

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 ここで、人間学部開設までの道のりとしてわたしが理解していることを少しご紹介しましょう。
名城大学のなかで約30年間、議論と準備が積みかさねられてきました。
 昭和53年(1978年)秋、当時の学長より、人間学、人間文化学、人間育成学を主な柱とする文系学部、人間文化学部の新設構想が試案として示されます。平成7年(1995年)4月、岐阜県可児市に都市情報学部が開設されますが、人文系の新学部を設置する動きは続きます。人文系の学部を設けて名実ともに名城大学を総合大学へと発展させる、高等教育への進学動向に対応して、2年間で学修を終える短期大学部を4年制の学部に改組再編する、21世紀を間近に控え、人間同士のかかわりがより高まると見込まれる新しい時代に活躍できる人材を育てる、さらにわが国をめぐる国際化の流れにそって、名城大学の教育・研究面の国際化を進める、といった大きな課題・要望に、以前から議論を重ねてきた教育学、心理学、社会学を含みこむ学部が応えることができると期待されるからです。
 どのような学部をつくり、授業科目を設けるか、というもっとも重要な論点については、さまざまな議論があり、具体案ができては消え、できては消えるというくりかえしが続きますが、最終的には5つのキーワードに集約される現在の人間学部の枠組みに落ち着きます。
 学部開設への準備から現在まで、大学の運営に責任をもつ学長・副学長はじめ多くの先生方、経営面に責任をもつ理事長はじめ理事の方々、名城大学を支える評議員や多数の卒業生より励ましと力添えをたまわりました。開設後は、学生のご父母による人間学部後援会がつくられ、学部の教育に物心ともに支援をいただいています。

 

8.人間学部の未来

 人間学部は専任教員20数名、学生数は各学年200名余りの1学科だけの学部ですが、今年、開設10周年を迎えたその先にも、明るい未来への道が続いています。充実した授業科目を学んだ卒業生の活躍は、その証明です。さまざまな企業への就職のほかに、教職に就く者、平成23年度に開設した大学院人間学研究科などの修士課程に進学する諸君、さらには独自の道を切り拓く卒業生も現われています。
 わたしたち専任教員は、卒業生の今後ますますの活躍を期待し、日々の研究の成果を学生諸君への指導に生かして、社会を支える若い人たちを育てる道を歩み続けたい、との願いを新たにしています。