名城大学人間学部 基軸科目「現代に生きる」

授業のねらい

基軸科目「現代に生きる」は、人間学部のすべての新入生が一同に会し、
人間学部の教員はもとより、
名城大学の文系・理系を含む4学部から6学部の教員の協力のもと、
現代社会が直面する諸問題を正確に理解した上で、その解決策をグループに分かれて討議し、
その成果を全体討論の中で共有することを試みる全く新しいタイプの授業です。

このように、学部を超えた教員がチームを組むことによって、
2015年から開講されている「現代に生きる」には、
《教養教育への導入》《専門教育における実践性の担保》《学部の仲間づくり》という
三つの狙いがあります。

教養教育への導入 専門教育における実践性の担保 学部の仲間づくり

教養教育への導入として

「教養教育」は、それぞれの学部の「専門教育」とは別に、あらゆる学部で共通して実施されています。では、それぞれの学部の専門を超えた共通のものとは何でしょうか。それは、卒業後、学部ごとに異なる「専門教育」の成果を活かしながら、同時に専門を超えて、私たちの社会を私たち自身の力で共に支え、またそれをより善い状態へと改革していく知性や資質を磨くことではないでしょうか。こうした条件を備えた人間を「市民」と呼ぶならば、「教養教育」の目的は、責任をもって社会を維持・発展させる「市民の育成」と言い換えることもできます。
「現代に生きる」では、今日の社会が直面する課題を取り上げ、その解決策のために仲間で討論し、自分たちの考えをまとめ上げていく過程を特に重視していますが、それは受講生が将来の「市民」として不可欠な課題解決的な姿勢や、それを支える知性と資質の基礎を育むためです。また、このような基礎を踏まえるならば、大学で学ぶ多様な「教養教育」科目も、単なる「物知り」になる手段などではなく、私たちの社会を維持・発展させるための力を形成していく機会にもなるはずです。

専門教育における実践性の担保として

人間学部の「専門教育」は、人間に関する広く多様な専門分野で構成されています。しかし、こうした多様性にもかかわらず、そこには人間的にふさわしい生き方、人間にふさわしい社会のあり方を明らかにすること、一言でいえば「人間性」の探求という一本の筋が通っています。人間学部の目的が、「人間性豊かな実践的教養人」の育成といわれる所以です。もちろん、そこで「実践的」と形容されている通り、「人間性」を理解するだけでは不十分です。さらにそれを、卒業後に実現していくことが求められています。そのためには、狭い専門分野や技術領域に長けているだけではなく、公共的なセクターはもとより、企業や学校、地域や家庭など、あらゆる領域において、それぞれ直面している諸課題を深く理解し、仲間と協力して、それらの解決を追求していかなければなりません。つまり、ここでも上述の「市民」としての知性や資質が不可欠です。
従って、基軸科目「現代に生きる」は、単に「教養教育」だけではなく、特に人間学部の「専門教育」にとっては、その成果を卒業後に活かす「実践性」を培う上でも重要な科目になっているといえます。

学部の仲間づくりとして

人間学部では、入学すると少人数の学生で編成される「基礎ゼミナール」に所属し、4年間ともに学ぶ仲間をつくることができます。このような機会も大切ですが、人間学部の新入生は毎年200人を超え、そこには非常に多様な考え方や願いをもった学生が含まれているのも事実です。「現代に生きる」では、新入生全員がそれぞれ授業の進行の中で三つの主要な課題ごとに編成される6人程度の班に所属した上で、現代的な諸問題について互いに議論を重ね、共同してレポートをまとめる作業をします。また全体討論では、各グループの代表として、あるいは個人として、さまざまな学生が発言をします。
こうした学生間の交流を通じて、人間学部には多様な考え方やさまざまな願いをもった学生がいることを互いに理解し、「基礎ゼミナール」の仲間以外にも、より広い範囲で新しい学友をつくっていく機会にもなっています。

学生の声

後藤 紳介君(2年生)

「現代に生きる」を受講した全般的な印象をきかせてください。

これまで高校では受けたことのない授業で、とても新鮮に感じました。人間学部の1年生全員が一堂に会して授業を受けるというのは、他の授業ではないことです。講義を受けて、特に農学部の山岸先生、人間学部の安藤先生のお話に興味をもちました。

「現代に生きる」では、グループ討論や討論結果などで、学生の皆さんの積極的な参加が求められたと思いますが、どうでしたか?

自分が興味をもった討論課題については、手を挙げて討論結果を発表していました。そういう点から、積極的に参加できていたと思います。ただし周りをみると、すべての学生が必ずしも手を挙げて発言しているわけではありませんでした。また、グループ討論も、自分は班の中で積極的に意見を表明した方だと思っていますが、そうした意見をもっている人と持っていない人と分かれる傾向がありました。
ですので、ユニット毎に班のメンバーが交代するのは、よかったと思います。班のメンバーが代わることで、新しい意見をもった人に出会うこともできました。まだ1年生で友達も多くはなかったので、これをきっかけに交友関係も広がりました。2年生になっても付き合いが続いている仲間がいます。

「現代に生きる」ではタブレットパソコン(iPad)等を使ったICTを使っています。こうしたICTを使うこと、どう感じました?

グループ討論の時は、普段あまり議論に参加しないメンバーにiPadでメモをとる担当になってもらうことで、議論に参加させることができました。また、iPadに書かれたことが大型のスクリーンで表示されると見やすいですし、他の班の意見もよくわかりました。発言だけではわかりにくかったことが、発言と同時にその内容がスクリーンに投影されると、よりわかりやすくなりました。

「現代に生きる」を受講し終えて、その後の学修や大学生活にいかされていることはありますか?

やはり交友関係の広がりが大きかったです。班のメンバーの交代は必ずしも班の全員が総入れ替えするわけではありませんでしたので、班でずっと一緒であった仲間や、途中で新しく加わった仲間といったように交友関係が深くなったり広がったりしました。
もちろん、自分の関心や知識も大きく広げることにつながったと思います。そうした幅広い視野で見るということで、「心理学」を学びたくて人間学部に入学しましたが、「社会・教育系」や「国際・コミュニケーション系」といった心理学以外の分野にも興味をもてることがある、ということに気づくことができました。現在は2年生ですので、これから3年生の基幹ゼミナール、どのゼミを志望するのか決めなくてはいけません。基幹ゼミナールは卒業論文を書く卒業研究ゼミナールにつながっているので、志望先を迷っていますが、こうして迷うことができるのも、自分の問題関心の広がりがあると思っています。「現代に生きる」での経験を生かして、3年生になっても、基幹ゼミナール等で自分から積極的に発言をし、参加していきたいと考えています。

清水 美沙さん(3年生)

「現代に生きる」を受講した全般的な印象をきかせてください。

これまで高校では受けたことのない授業で、とても新鮮に感じました。人間学部の1年生全員が一堂に会して授業を受けるというのは、他の授業ではないことです。講義を受けて、特に農学部の山岸先生、人間学部の安藤先生のお話に興味をもちました。

「現代に生きる」では、グループ討論や討論結果などで、学生の皆さんの積極的な参加が求められたと思いますが、どうでしたか?

自分が興味をもった討論課題については、手を挙げて討論結果を発表していました。そういう点から、積極的に参加できていたと思います。ただし周りをみると、すべての学生が必ずしも手を挙げて発言しているわけではありませんでした。また、グループ討論も、自分は班の中で積極的に意見を表明した方だと思っていますが、そうした意見をもっている人と持っていない人と分かれる傾向がありました。
ですので、ユニット毎に班のメンバーが交代するのは、よかったと思います。班のメンバーが代わることで、新しい意見をもった人に出会うこともできました。まだ1年生で友達も多くはなかったので、これをきっかけに交友関係も広がりました。2年生になっても付き合いが続いている仲間がいます。

「現代に生きる」ではタブレットパソコン(iPad)等を使ったICTを使っています。こうしたICTを使うこと、どう感じました?

グループ討論の時は、普段あまり議論に参加しないメンバーにiPadでメモをとる担当になってもらうことで、議論に参加させることができました。また、iPadに書かれたことが大型のスクリーンで表示されると見やすいですし、他の班の意見もよくわかりました。発言だけではわかりにくかったことが、発言と同時にその内容がスクリーンに投影されると、よりわかりやすくなりました。

「現代に生きる」を受講し終えて、その後の学修や大学生活にいかされていることはありますか?

やはり交友関係の広がりが大きかったです。班のメンバーの交代は必ずしも班の全員が総入れ替えするわけではありませんでしたので、班でずっと一緒であった仲間や、途中で新しく加わった仲間といったように交友関係が深くなったり広がったりしました。
もちろん、自分の関心や知識も大きく広げることにつながったと思います。そうした幅広い視野で見るということで、「心理学」を学びたくて人間学部に入学しましたが、「社会・教育系」や「国際・コミュニケーション系」といった心理学以外の分野にも興味をもてることがある、ということに気づくことができました。現在は2年生ですので、これから3年生の基幹ゼミナール、どのゼミを志望するのか決めなくてはいけません。基幹ゼミナールは卒業論文を書く卒業研究ゼミナールにつながっているので、志望先を迷っていますが、こうして迷うことができるのも、自分の問題関心の広がりがあると思っています。「現代に生きる」での経験を生かして、3年生になっても、基幹ゼミナール等で自分から積極的に発言をし、参加していきたいと考えています。

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